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玄米茶の愚痴や、暇潰しの短編を書いたりするよ多分
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明日は海に言ってきます玄米茶です。
あまり作品を更新しないのもどうかと思うので、混じり言葉でも掲載しておきます。
多分ですけど、衣生活のあと更新する作品です。



  序章

「あっああ、あああああ、あくぁあああああああああああああああああああああ」

小高い丘の上に少年はいた、絶望に打たれ雨に打たれながら。手には中華包丁のような刃を持って、ただ少年は泣き叫んでいた。

もち手さえないもともと死刑という機能しか持たないはずの武器を抱えるように持ちながら。なき続けていた、周りにいたのは友達だった、仲間だった、自分が食らった仲間友達、無力だったから彼は友人の屍を喰らいながら生きていた。

そのたびに彼の心は壊れていった、そこは死都と呼ばれた滅びた国。王や国民はすでに無く魔王進行に晒されこの国に残ったのは少年と死体たちだけだ。

そこで生きていくにはもう残っているものは死体だけだった。
少年は泣きながら死体を喰らう、謝罪言葉を吐きながら自分がしにたくが無いがゆえに死体を喰らい続ける。

滅ぼされた国で生きてきた少年、心はすでに壊れ果て絶望で歪み。
誰からも救いの手は差し伸べられなかった、

彼は負けた、何度一生懸命に戦っても負け続けた。

彼は負け続けた、自分の心に、本能という名の感情に、何度も何度も負け続けて心が何度も折れた。もう負けたくないと重い名がまた彼は死体を啄ばむ。

なんて、なんて自分は弱いんだと涙を流しながら。

「負けたくない」

そして思う、決意は変わらず世界を作る言葉を、

それは本能
それは人間
それは理性

それは森羅万象あらゆる存在。

「もう負けたくなんて無い」

奈落から吐き出すよう彼の言葉は世界に刻まれ続ける。何度も踏み潰されてきた心に自分で切り刻むように、それでも負け続ける自分の心に絶望の歌を。

童の未来の願いよりも途方も無い思い、空に浮かぶ無限の星を数えるような無謀、すべての可能性をつかむような奈落。

手を伸ばし続ける、心は彼はて願いはただ何度も刻まれ続ける。
負けるたびに刻む、少年は負けたくないと。あらゆる存在に自分意さえも負けたくないと何度も思う。

誰もいないから彼の願いはずっと刻まれ続ける、すごいと思うよりも気持ち悪い。
負けたくないと思うだけの気持ち悪い人形だ。

笑うことしか選択を許されない道化師、嘲笑ってくれようか、思いを紡ぎ続けることの愚劣さそれは最終剣王が残した世界の崩壊にだってくれてやれる。
それは気味の悪いだけの独りよがり、独善、自分は正義だと言い張る大量殺戮者たち、ただ力を持つだけのごみに相違ない。

吐き気がするほどの存在、負けたくないと死体を漁る敗北者。

殺す事しかできないくせにそれがすべてと思う死体生成者。

いいわけ馬鹿りして死ねばいい様な塵屑、芥の癖に生きているものを貶める塵のような人間。

謝罪ばかり繰り返し。
負けないと言い張りながら。

することは何にも変わっていない言い訳。

あぁ、いっそ死んでしまえばいいというのに、死ねと何度でもいってやれるぐらい愚劣な彼の宣誓、なんて、なんて、おろかで卑小な馬鹿のような宣誓。

その決意たる言葉はなんと、

「僕は二度と負けるものか」

なんと醜悪ことか。

魔王侵攻これはこの世界では三百年程度に一度起こる災害である。
創造の神であったものの離反により発生した、人間に対する大いなる殺戮の話だ
魔王こそがこの殺戮の温床であり、この世界に生きるものがおびえ続ける災害であり神話の時代から世界を襲う地獄だ。

だが世界は魔王に対して対抗する存在として勇者を作った。

初代勇者の名前をランフェルド=ケイフェルン、神である魔王を殺した彼ではあるがそのときに魔王とともに命を落としてしまう。
だがそれからが本当の魔王災害の始まりだった。

神は死ねない世界に組み込まれたルールは壊れない。一時的存在の濃度が少なくなり、転生という形でまた神は復活する。

そうやって歴史はつむがれ神話が終わり魔王の時代を迎えた現代勇者は五十代目。

だがこの勇者は一言で言うなら馬鹿だった。彼は歴代での最強といっていい存在ではあったが、第五十回目の魔王軍との全面戦争の折最前列に立っていった言葉がある。

「話し合おう」

つまりこう言う奴だったのである。
この時魔人王オウムジが言った言葉は両軍ともにうなずいてしまう言葉だった。

「あほかお前」

彼は徹底的なまでの偽善者(おひとよし)だった訳である。
実際このときの戦いでさえ彼は誰一人傷つけることなく決着を見せた。実力が妄言を妄言とさせないそれだけの力があったのがこの勇者である。

だがそれでも……

二ヶ月にわたる魔王戦争は魔王の王城にて結末を迎えることになる。

勇者が持ち出したのは和平交渉。そのためだけに魔王に最強の聖剣魔王殺しのランフェルドを魔王に提供した上での勇者一人というその交渉は罠としか思えないようなななか行われる。

その和平交渉はどういう手段をたどってかは誰もわからないが確実に決裂した。

説明は簡単だ勇者の死体が魔王城から降って来たのだこれを決裂以外の何だというのだろうか。だが魔王も勇者を殺そうとする以上相当のダメージを負い、沈黙の時間が五年程が流れる。

世界は勇者を求めた。勇者を作り出そうと声を上げた。

提唱したのは勇者の仲間である原色の騎士 汚為の白 法都における法律制定者聖女である。勇者育成機関学院、勇者候補育成機関学び舎、二つの機関を合わせて学園と言う言い換えれば天然の勇者ではなく人造の勇者を作り出そうという計画である。

だがこの入学試験は尋常なものではない。世界中の天才という天才を集め潰し合わせる。
さらにそこから選りすぐるために英雄階梯と呼ばれた戦士たちと戦わせこれに勝利すること。この二つしかないが、それだけで致命的だった。

英雄階梯とは魔王侵攻の際いやそれより以前からの魔王軍との戦いで単体で一個大隊を殺しつくすことさえ可能な存在の総称である。歴戦の勇士の中から選りすぐられてさらに鍛え上げた上に才能という才能を磨き上げた存在のさらに上にいるような存在に勝利することが絶対条件なのだ。

そして今年も学生が入学を志望するために集まっていた。
だがそのなかで一人異色を放ち続ける存在が、黒いローブを身に纏い一人の幼子を連れて彼は入学希望だと言い切った。
辺りにいる人間たちは英雄階級の子供たちや、鍛え上げられた力を持つ大人、その功績に見合うだけの金銭を与えられた存在たちばかりだ装備からしてローブの少年とは違う。

実際に彼と彼らが戦ったとしても負ける自身は彼には合った。

だがすでに一人の入学希望者を倒して英雄階梯に取り次げと彼は言ってくる。彼の勝ち方はそれは酷いものだった。開始と同時に後方へ逃亡、周りが唖然とするなかいち早く彼を追いかけたが彼が最初から用意していたと思われるトラップの地獄にあい死亡した。

あらゆる人間が正々堂々と戦う中姑息を徹底的に行った所為だ。
実際とラップは足止め程度のものだった。だが完全に行動力を奪われた敵に対して彼は首を切り飛ばすという止めを行った。
もともとこの試験自体生死不問である以上この結末はあって当然のものだが、まだ死に合いをしたことがない彼と同世代の子供たちは震えていた。

「早く次を、こっちはこの学園に用事がある早くしろ」

かなり態度は偉そうだが、とりあえず彼には空気を読むといった技法は持ち合わせてはいないようだ。
交流を持つのは相当難しいと思われるのは確定だ。

彼の名前はフィーリ=ネロビス。勝利するというその一点に関して誰にも負けることのない決意を持った少年だ。
彼の外見をざっと見るだけでその異常はわかるだろう。武器からして誰も理解できない、ギロチンの刃である。強引に持ち手の部分に穴を開けそれを武器として彼は扱うのだ。
さらに彼の隣にいる少女、妹かと思うがその幼子の顔は明らかに彼という存在に恐怖していた。

周りの空気を読みながらも試験管は彼の名前を呼ぶ。
彼の試験官は英雄階梯救いのモディールと呼ばれた英雄。

あらゆる絶望的な戦場を書き換えてきた救いの手、その心は優しく暖かい、だからこそだろうフィーリ=ネロビスはその存在を見て勝利を確信する。

審判は試合場に彼を促し彼はそれにうなずく。その間モディールに対して視線をはずすことはない。

「その少女はどういう事だ」

戦闘を開始する前に彼の隣にいる少女が誰かとモーディルは彼に問う。

「武器ですよ、いや盾、ただの道具が人型をしている程度でいちいち喚かないでくれると嬉しい」

見下す、徹底的に英雄を彼は扱下ろす。あくまで自分はお前より上だという証明のように彼は余裕の笑みをこぼす。

「魔道人形の類か」

始めという合図。その構えを見た瞬間モディールは愕然とした。

「いや失礼な事言わないでほしい。こんな精密な人形が今の技術でできる訳が無いじゃないか人間って言う僕の武器だ」

救いの手は攻撃する事さえ出来ないままにその場に立ち尽くした。
確かにその武器は戦うことは難しい類の武器だが首を切り飛ばすことに関してならどの武器よりも確実な武器だ。中華包丁をそのまま大きくしたような形の刃。

「で、どうする英雄」

もう何もかもが前代未聞だった。勇者を選ぶ試験で人質を取る勇者候補。
軽く審判は失神しそうになった。

眩暈を感じながらそれでももしもの時の為に高速用の魔術を起動させる。横目でそれを確認したモディールはそのまま攻撃を開始する。実際彼は刃を少女に振り下ろすことは無かった。
実は単純な話。彼の身体能力面の戦闘能力は一般人よりはまし程度だ。

コブシ一発で彼は試合場の端まで吹き飛ばされる。

「不合格だ勇者を目指すものが人質など」

少女をかばうようにしてモディールは立ち塞がる。少し手ごたえが無さ過ぎるような気もしたが、フィーリの顔を見た瞬間怖気を走らせ一歩下がった。

「じゃあ最後の質問だモディールお前はどうする」

今もなお変わらない彼の絶対優位。
英雄を猿回しのように動かしているとしか思えない。審判は彼が次に何を考えているかわからなくなる。

「僕を学園に入れるつもりがないならで負けを認めろ。それがいやなら絶望しろ、時間は後十秒くれてやる」

わけのわからない、理解できないという感情が彼を震わせ十秒と言う時間を強奪する。

「くっ……、お前は何のために学園に入るつもりだ」
「別に、お前には関係ないだろう。それと名無駄な会話の代償だお前の終わりだよ誰も救えない手」

ただ無感情に彼の目はモディールに向けられ一度だけ割れろと命令する。

「や、め!!」

決断よりも彼の異常性を気にした瞬間その地獄は決定された。

救おうと手を伸ばすモディールの手は届かない少女の体は破裂する。
体の内部に仕込まれていた禁忌の魔法弾頭。やけにそれはゆっくりと見える、おびえて体を震わせる少女、最初は腹から驚異的な熱量が少女の体をゆっくりと炭化させていく、だが体内のすべてを焼き尽くす前に皮膚が零れ落ち幼いからだから臓物が零れ落ちた。

「ふぇ」

ショック死さえ許されない光景、理解できない事が少女の目の前で起こる。理解さえ出来ないだろう、それが自分の体が無くなっていく光景だなんて。
そのこ毀れた物を戻そうと手を動かしたとき両脚がぼろりと朽ち、動かした腕も同様に無くなった。

「たすけて」

まだ生きてきて数年も立たない子供の救いを求める声。だがすでにさし伸ばされる手は遠く絶望的な距離にある。皮膚は血液とともに沸騰して体中にボコボコトいやな音と変化を及ぼす、肉を焼くような香ばしい匂いが辺りに臭う。

泡が皮膚を疣のように膨らませ体内に気泡ができそれが皮膚を食い破る。皮膚がその沸騰と熱量に耐え切れずに弾ける音がいやに耳にこびりついた。

少女はすでに焼き尽くされた子供の人形のように爛れ体はすでに異形の何かであった。

すでに体の大部分は炭化して崩れ落ちる。とっくに少女は死んだ、だがそれだけでは終らない死体の陵辱はいやに長く続き少女の体を虐殺しつくした。

ほとんど体にまともな物が残らなくなったところで彼女の地獄は終る。少女への世界のやさしさは蒸発と言う手段で結末した。

誰もが一瞬思考を失った。一方的に少女を人質に取り勝手に殺した男は、その千回殺しても余りある隙を逃すことは無い。

「あーあ、だから言ってやったのに何度も忠告を」

楽しそうに跳ねるスタッカートのような足取りでモディールの近くにゆっくりと歩み寄り絶望をいっそう深くして。
ズトンと鈍い音とともにギロチンの刃はその機能と役割を果たした。

そしてゆっくりと

「受験生フィーリ=ネロビス」

苦虫を噛締めるように、

「学園合格だ」

彼の合格は成された。
勇者選定で人が死んだのはこれが始めての話である。

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