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玄米茶の愚痴や、暇潰しの短編を書いたりするよ多分
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と言うかね私が読者に請われて、用意しない事はないよ。
まーそうはいっても昔書いた奴の加筆バージョンだけどね。

と言うわけで感想をくれたお礼に幸せなころの話を出してみます。前見た人も少しだけエピソードを追加してみたから見てみるといいかもしれない。
ただし本編を見ていない人がこの短編を見るときっと勘違いします。


海晴とルッコラの生活

「おばさん、とりあえず今日の仕事終わりました」
「そうかいアマハル、じゃあとりあえず夕飯の準備するからメリエと一緒に井戸から水を汲んできな」

それはいつの頃だっただろう。まだ異世界に来て一ヶ月しかたっていない頃だったと思う。
字のかけない彼は学院で馬鹿にされていたが、メルエやルッコラ、アールベなどと一緒に仕事をしながらくよくよせずに勉強をしていた。
教師に嫌われていた彼は質問しても、たいした回答をもらうことは無かったが、それもで必死に勉強をし続けた。

学園の教師は貴族ばかりで、国なしの彼に辛く当たることもあったのだ。
それでも字を覚えていきながら確実に彼は成長をし続けていた。

「しかしアマハル、このまま学園にいるんじゃなくてさ、この酒場で本格的に働かないかい」
「そうですね、それいいですね。けど学園を退学すると授業料を払わなくちゃいけないんです」
「なら、卒業したら酒場で働けるんだね」

ルッコラは真面目に働く彼を娘と結婚させようとまで考えていた。
働き者で常に一生懸命な彼の姿を見て、娘も満更じゃなかったのでそんな事を考えていたのだ。

「頑張りますよ。ルッコラさんの酒場をもっと繁盛させて見せますから待っていてくださいね」
「お願いだよアマハル」

一ヶ月も働くうちに肉体労働にも慣れてきた彼は、まだメルエが何か仕事をやっているの見て自分で井戸から水を汲んでくるといってみた。そうしたらメルエはさっさと仕事終わらせるから少しまってーと愛らしい声を弾ませるように溢れさせた。
まだ結婚なんて考えてなかったが、メルエは嫌いじゃなかった。それにルッコラ達に最大限御礼をしてからじゃないとここから出るつもりも無かった。何より彼はここから離れたくなかったのだ。

「じゃあ行きましょうかメルエさん」
「あ、は、はい。わかりましたちょっと待ってくださいねー」

ちょっと小走りで走ってくるメルエは、アールベとルッコラのいいところだけを抜き出して作った様は美少女だ。
それがちょっと頬を赤らめながら恥ずかしそうに走る姿は、健康な男子には少しばかり刺激が強すぎる。

「アマハルなら襲っても許すから、孫を頼むよー」
「私からも孫をお願いするぞー」
「二人とも何を言ってるんですかまだ早いでしょー」

こんな当たり前の生活があった。
しかしこれからもう少し月日がたった時、全てが水泡に帰す事になるとは彼らは考える事すらしなかっただろう。
幸せだった、全部が全部幸せだった。

「じゃあ襲わないように僕一人で行ってきますよ」
「あー私も行きますよーハルさーん」

彼の後ろを小走りに走る彼女は少しばかり幼く見えるが彼より年上だ。
女性を感じさせる体のつくりに海晴は少々戸惑う事が多い。何しろ彼女はそれを自覚せずに海晴に無邪気に抱きついたりしてくる。青少年には少々刺激が強すぎる。

だが恩人であるルッコラの娘に彼が手を出すはずもなく、顔を真っ赤にしたまま動けなくなる海晴の純情ぶりに、メルエは弟のような感情を抱いていたのかもしれない。
ただ水を汲むだけなのに、海晴の背中に飛び乗ってギャーギャーと騒いだりと少々うるさいが、ルッコラ達はそんな二人の姿に孫の姿を想像していた。

「なぁルッコラ、本当に真面目でいい若者だな海晴は」
「そうだろうね。けど本当に掘り出し物のいい男を見つけたもんだよメルエには、いい旦那になりそうじゃないか」
「それは当人に任せるとしよう。海晴も国の偉い人になるかもしれないんだしな」

少なくとも抱き疲れるだけで失神しそうになっている彼には、少しばかり荷が重すぎる気もするが、これが海晴がただ幸せだった頃、優しさに生まれて始めて触れた。生涯でたった一度の幸せな日々の話である。
戻りたいといつまでも彼が嘆いて望んだ世界のほんの一幕。

幸せで幸せすぎた、海晴と言う人間の日常であった。

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