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玄米茶の愚痴や、暇潰しの短編を書いたりするよ多分
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皆さんはどうでしょうか、あと駄目な方向に全力失踪したりするキャラとかもう大好きでなりません。
そういえばギャグになるとそう言うキャラクターがよく出てきている気がします。あの彼女は宗教狂いとかその典型的な奴ですね、後は死亡遊戯なんかもそう言う類の作品ですよね。

ああまだ忙しいので何にも手をつけていませんので、なんか更新したいので千眼王の一部を公開します。玄米茶色々立て込んでる気がしますのでもう少しゆるりとお待ちください。

あとモブストライクのファミリーを募集中です。





「冗談じゃない、俺が何でお前の親父と同レベルにならなくちゃいけない。あと泣くな、女の涙はもう見たくないんだよ」
「じゃあ泣きます、守らせてくれれなければ泣きます」

凄くいやな顔をしている。ここに着て開き直られて、脅しをかけられているようなものだ。
その二人の奇妙な光景と友人の表情が明らかに変わったところを見て、友人の仇の娘ながら笑いがこみ上げてきた響は、見識の千眼王の前で笑いを必死に我慢する。ばれるけど。
ここに来て方の力が抜けてしまったのだろう、こんな滑稽な光景を見せられれば当然の事かもしれないが、これがあの劣悪な魔王の娘とは思いもしなかった。

「ちょ、負けんなよ。お前って奴は本当に女に甘いな、奉の所為だろうけど」
「うるさい、俺が女が死ぬ事自体がいやだって知ってるだろうが、絶対に母さんに、ころされるぞこいつ」
「お前が守ってやれよ、どうせお前負けるだろう。このふざけた女は諦められないさ、お前の復讐と同じように、引けない理由があるから高潔宣言の教育まで受けていながらお前に頭を下げるどころか体を捧げるとまで言うんだろう」
「それが冗談じゃないよ。俺はこいつが死ぬのも近くにいるのも泣くのも全部嫌だ。もうあんな光景を目にしたくない、今は未来も何も見えないが、こいつは死ぬぞ間違い無く」

彼の母親は本当に苛烈な人間だ。殺意と言う力を持ってその意思を体現するのなら、千眼王さえ彼女の前には劣る。
本来は情の深い人間なのだが、いやだからこそだろう、娘を奪われた怒りは、想像を絶している。ましてや息子の寿命さえも食い尽くされたのだ、彼女が大神の血脈を滅ぼさないのは、実際の話息子といる時間を大切にしたいからであり、それがなければこの目の前にいる少女は確実に殺されていると言う確信が祭にはあった。

だからこそあまり母親に合わせたくはない。それは目の前の少女が殺されるのを見るのも嫌だが、母親が感情のままに狂う姿を彼は見たくなかったのだ。
懇願するような視線に居心地の悪さを感じながらも、どうせ親の視界に入れば容赦なく殺されるのだ、母親は破眼と深意の明眼を持っている見識の第三十七位ながら、対象を絞っての見識であれば六位相当の異眼である。
もし情報が一つでも耳に入れば、殺しにこられるに決まっていた。
それは彼にとってもいいことではないのだ。渋々に誓いながらも彼は大きく溜息を吐いて、許可を下すしかなかった。自分の手の中にいる間なら母親もそう簡単には手出ししないだろうという判断である。

「分かったよ、クソ、お前みたいなゴミの価値もない奴の為になんで俺が苦心してやる必要があるだ」

しかし彼の言葉は辛辣である。
それは仕方のないことだ、本来ならここで彼が、彼女を殺しつくしてしまっても、仕方のないだけの恨みを抱えている。坊主憎けりゃ袈裟まで憎いのと変わらないかもしれない、彼女はその恨みを受け入れる事が出来るかは、不安だが今だけは必死に、感情を押し込めていた。

「ありがとうございます」

可憐に笑う少女に、一瞬でも男の二人は目を奪われるが、それは思春期の若者である悲しい性なのかもしれない。
祭は眼帯をしていようと目が見えないわけではないので、委や普通の目よりも鮮明に見えてしまう所為か、目をそらすようにして彼女を視界から外す。漏れ出す能力の遮断と言うようなものだろうが、いきなり遮断された視界は真っ黒に染まり彼は電信柱に頭をぶつけた。

「なにやってんだか、この世で最も世界を見渡せる奴の行為かよ」

響のあきれた声に何も反論できず、痛みに耐える祭りであった。

***

高潔宣言の盟主は少し前から変わっている。
狼の魔王が、四肢の全てを欠損させ前線にも出られない以上仕方のないことではあるが、だがその姿は高潔宣言のメンバーでさえも殆ど知らない。かつての大幹部たちは全てにしに、殆どそうが絵に近い状態で入ってきた所為もあるだろうが、新たな盟主に会うことは、新参の幹部たちでは難しかったのだ。
不満は募るのだが、高潔宣言において異眼の力こそが全てである。大幹部である、大乱の心眼、神代の魔眼などといった大幹部たちの前に、彼らは屈服するしかないのだ。

ただその存在が女であるという事だけは、事実であるようだ。

最初は魔王の娘と言う噂も合ったが、そう言う事実がないことを異端狩りに入ると言い張っていた少女が、行動で否定していた。
今回の魔王の派遣だって、その盟主の命令だという事だが、いまさら高潔宣言があの家族に手を出す理由はなかったはずだ。しかもそれが彼らにとって因縁深き、魔王を派遣する理由はなんであろう。

そんな事を呟きながら何人かの幹部は談合をしていた。
だが今回だけはそれではすまなかった、完全な奇襲のように一人の女が現れたのだ。咥えタバコに、乱雑に伸びた髪、青い燐光を放ちながら気だるそうに歩く人類最強が、人間を蹂躙しながら歩いていたのだ。

「お久しぶりだ諸君、君たちのところの負け犬がよりにもよって見識の千眼王のところに来ているのだが釈明はないのか」

理解不能だっただろう、千里眼といえど認識不可能な場所に彼らはいるというのに簡単に見つかってしまった。
いやそれだけならまだいい、ここにいる千眼王は間違い無く彼らを殺しに着ていた。あまり想像したくない事実だろうが、大幹部であっても皆殺しにされるような高潔宣言における恐怖の一柱である。
青の燐光を見るだけで震え上がる存在がどれほど多いことか。

「知らない、盟主様が命令したとしか私達は知らない」

恐怖が声に出して表れる。勝てるはずがないどころか、歯牙にもかけられないことを彼らは、理解させられている。
千眼王とは異眼使いたちにおける憧れの象徴であり、悪夢の象徴なのだ、無敗にして不敗、圧倒的な非常識。そんな恐怖を彼らは身にしみて何度も経験していた。彼女によって殺された異眼使いは既に三十万を超える、一国を相手取る反則的異眼使いは、彼ら幹部集団でさえも恐怖の対象以外には写らないのだ。

「その盟主も分かっていないのに、大体予想はつくが、まぁま違いなく浄眼使いだろう。あのまま死んでいればよかったというのに、そこまでしてあれを見たいか。無理解の浄眼、千手の救眼、最終の賢眼よ」

この全ての名称はただ一人の存在に当てられた言葉だ。
現在の高潔宣言盟主である、大江山の名君と同じく異眼殺しの浄眼をもつ存在だ。更にこの化け物の恐ろしいところは、抉り出した目を手に植え付ける事により、その目を使う事のできる異眼である、千手の救眼を持っていることであろう。

「まがい物ではなく本物を見たくて何が悪い。ようやく覚醒までこじつけたんだ、あとは完成の為に言って付け加えなくて何が作戦だ」

幼い声が響く、どこからか声だけ発しているのだろうが、あまりにも尊大なその物言いは千眼王を苛立たせる。
ただ一人彼女が敵対する場合には、命を賭けるべき敵は、どこにいるとも知れずに楽しげに言い放って見せていた。

「だがそのまがい物で世界は十二分のはずだ、私も見たくないわけではないが、あの哀れな異眼の王にこれ以上の苦痛を与えて楽しいのか」
「哀れだ、あれほどの力を持ちながら何一つ出来ない異眼の王が哀れでならない。だからこそ高潔宣言はあの王を痛めつける、王のための贄になる準備は存分に出来ている」
「それを王が喰らうともわから無いと言うのに愚かな話だ。ここで潰してやるのがお前らのためか、それともあの王のためか、どう思う」

判決の閻眼がクルリと目を剥いたと思えば辺りを蒸発させる。
熱どころの話ではないが、そんな事をしても高潔宣言の盟主が殺せるはずもないことは知っていた。淡く漂う燐光のあとが、その炎の力を破壊しつくすのだ。それこそが理解の浄眼と対極をなす無理解の浄眼の力だろう。
しかしその浄眼の力を使っていたとしても、ここにいる千眼の王の力は類を見ない。

爆発的な熱量と言う名の情報を浄眼一つでねじ伏せるには、少しばかり異眼としての格で千眼に及ばないのだ。

「なあどう思う盟主よ」
「相変わらずの反則振り、流石異端狩りを世界最強とまで言わしめた女だよ。まぁそれでこそ高潔宣言の敵に値し、異眼の王が現れるまでのまがい物である権利があるんだろけどね」

酷く息を荒げて、千眼王よりも一回り程年齢が低いであろう盟主の姿が現れた。
腕を海晴と同じ材質で括られた眼帯のようなものをしているが、それは目の力を通常では引き出さないようにするための安全装置に過ぎないのだろう。だがどちらにしろ盟主は千眼王に勝てる自身などはならかない。

「否定するべきか、あれも私も王になどなれない。いや違うかならないんだ、寒椿も貴様にのせられた様だが、あの哀れな異眼の王は、その事実を認めることなんてない」
「何故分かる、王から逃げたお前が、あのアメリカ殲滅の際に王になれるだけの権利を持っていたくせに」
「だってこれほど面倒な権利はないだろう、私もあれも早死にするだろうが、どちらも王の権利は投げ捨ててるんだよ」

あれは眼帯を剥ぎ取った時に王の権利を捨てている、そして私もあの下らない殺戮の時に捨て去ったよと、だが盟主がそれを諦めるとは思わない事を彼女は知っている。

「認めるか、たった二つの浄眼以上の最上級権限を得たくせに、どちらもが捨てるだって。どこまで道化芝居を演じるつもりだ千眼王」
「道化はどっちだ、異眼如きに全ての希望を見出す暇があるなら自分の行為に希望を見出せ」
「冗談じゃない、異眼の王以外にこの世界に希望なんてあるものか。そんなものは全部まやかしだ、この世界のどこに真実がある、それを見出せる王は一人だけ、この欺瞞だらけの世界のたった一つの真実だ。それを見たくて何が悪い」

舌を打ち鳴らし、あわて分かるように非難の表情を作り上げる千眼王。狸の腹芸など王と呼ばれる存在はするはずもない、ただ純粋に目の前の女を睨みつけて言い放つだけで十二分だ。

「ただ世界が見たいだけなら自分の三十以上の眼を開いてみてくればいいだけだ、たった二つの目よりもよく見えるだろう」
「誰がこの真情を変えるか、いいか覚えていろこの世界でたった一つの真実は異眼の王である祭だけだ、その為ならちょっとの贄ぐらい食わしてやってもかまいやしない」

諧謔に飛んだ笑みを作り上げ、王らしからぬ感情を突きつける。
その表情が何を言いたいのか誰もわからないだろう。だが突きつけられた女は一人、いやそうな顔をして目をそらした。だが千眼王が彼女の言葉を聴くより先に、怒声にも似た分かりやすい表現で、眼前の盟主をにらみつける。

「それをあれが認めるとは思えないがね、その辺はどうなんだ盟主様は」
「黙らせるに決まっているだけの話ですねそんなもの、とうの昔に決めきった話ですよ」
「その言葉が残念でなりませんよ」

そう言うと彼女は目を閉じた。シケモクを地面に吐き出すと、それを踏みつけ同情するように、再度見直す。

「伊吹山の暴君かつての日本二大巨頭の一人がここまで落ちぶれるとは思わなかった。まぁ、その賢眼から得られる異眼の王の降臨は、落ちぶれてもなお甘美な酒なんだろう

「当然だ、これほどの麻薬があるか。一同たれればもう二度とあきらめる事などできない」

千眼王はその言葉を確認して踵を返す。
目の王に後ろからの攻撃など通用するはずもないことは、盟主である彼女も知っていることだ。何より自分をここで千眼王が殺さなかった事が僥倖、自然と笑みがこぼれていく。

「ああそうだ、そう、そう、暴君よ、世の中そんなに上手くは行かないから気をつけろよ。これは今の千眼王の忠告だ」


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