玄米茶の愚痴や、暇潰しの短編を書いたりするよ多分
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ちょっと昔に書いた短編を今日吐き出してみる。
その作品を見ていると思うのだが、私って皮肉多くないですかね。
今更自分が皮肉家なんじゃないかと思うよ。
口が悪いのは知ってるのが、どうなんでしょうね。と言うかこれ公開したことあったかもしんないけれど覚えてないので、笑って許してください。
と言うかこういうネタはいっぱい持ってるんだよね。
暇潰しに宗教狂いの新作でも書こうかな。あれアホみたいに次の展開が浮んで終りが見えないから嫌なんだよね。
と言うわけで今回も掲載しておきます。
あるオンラインゲームで伝説と呼ばれるゲーマーが居た。
まぁそう言うゲームで伝説と呼ばれる人間だ、日常生活はそりゃ破滅的なものだろうが、なんか色々とそのゲーム頑張って伝説と呼ばれるようになった。
そんな彼だが、あるアイテムをようやく手に入れた。
それこそはステータスの振り直しを可能とするアイテムだ。これはボスからしかドロップできないだけならまだマシで、確立がGM側がプレイヤーに喧嘩を売ったとしか思えない1溝分の一、お前らに絶対やるかと、言っているような単位だった。
しかし彼はようやくそんなアイテムを手に入れたのだ。
「こうなったらAGIの極振りとかやってみるかな」
心弾む瞬間だ、ステータスを振りなおすのだどんなキャラクターにするかと、鼻歌だって歌いたくなる。
だが後々彼はこれに後悔する。いや今この一瞬から彼は後悔する事になるのだ。
現状で最高レベルである279と言う彼のレベル。金と時間を明かしたありえない数の装備。
「そんな事しないけどさ。手に入れた装備が出来なくなるし」
そうだこの世界の装備は、全てステータスによって制限が掛かってくる。だから彼はそんな馬鹿なことなんてしない。
ただ冗談で、AGIに全てのステータスを振り込んだのだ。
しかし彼の後悔はこの瞬間から始まる。
『やあ、君達。このショウロウオンラインを楽しんでいただいているようだが、君達をここにとらえさせていただく』
彼はその声に怯えてよりにもよってステータスを振りなおしてしまった。
「ちょ、え、ま、あれ、えええええ」
『君達がこのゲームが君たちの日常に変わる。ゲームこそがこの世界の法則だ。だからこそこのゲームで死んだものには、現実の死が与えられる』
この時彼は絶望した。そして彼はまた伝説になるのだ。
神速の壁、無傷の壁、全てを守護する英雄に。
だが彼は凍りついた。今までの全てのステータスはAGIに変わってしまったしかも全ステータスがだ、唯一装備できるのはアクセサリーぐらいのもの、それで初期装備が持てるようになったぐらいだ。
当然の事だがレベル上げは無残な事になる。そもそも倒せる敵が初期の的しか居ない。
困った事にこのゲームではAGIが、攻撃力になる事はない、その現実を突きつけられ彼は絶望した。
『そしてこれの現実から逃げ出したいものは、最後のダンジョンのボス、ネグリジェスを殺すことだけだ』
彼が昨日まで倒していたボスである。
しかも結構楽勝に、だがもう無理だ、火力が足りない。何よりそのボスこそがこのゲーム最強の敵であり、唯一のステータス振り直しのアイテムを落とす敵であった。
『健闘を祈る、また最後の私の介入として、ボスのステータスを上げておいたから頑張ってくれ』
まさかこんなあほな感じでデスゲームに彼は介入するとは思っていなかったのだろう。
タイミングさえよければ英雄にだってなれていたはずなのに、これでは彼はただの回避だけが凄まじいだけの馬鹿である。
「せめて、せめてレベル制限であれば」
あらゆる人間が動揺を隠せない中、一人別のことで突っ伏す馬鹿。全てが偶然だった、ただ驚いてミスっただけ。
それが彼の総計一年半の軌跡と三百万円を台無しにしたのだった。
そもそもステータスの振りなおしのためだけにボスに挑むか、この世界から逃げ出すためだけにボスに挑むかを本気で考えるような状況に彼は追い込まれている。
本来であれば、この世界から逃げ出すための英雄になるチャンスだったというのに、タイミングが悪すぎだ。
つかえないレア装備達、もう涙なしでは語れない。しかもHPも全盛期より大分下がっている。レベルアップ分の上がりしか無いからだ、正直に言えばレベル百の戦士レベルしかないだろう。
「ありえなさ過ぎだろうこれは」
だが彼が思うのはこんなあほな回避率ならぶっちゃければボスの攻撃全て避けられる。それほどの回避率は手に入れていた。
魔法攻撃だって避けられる、それでもボスには与えるダメージはゼロの一択だろう。
彼の姿を知る高レベルプレイヤーも、大慌てで彼に連絡を取るが、彼に返す余裕が無いのは当たり前だ。
何しろつかえないキャラクターに命を預けなくてはならないのだ。
装備制限の所為で全裸になって、一人突っ伏す男。変態だが誰一人彼に話しかける事はない。
「俺はもうお仕舞いだ」
辛うじてスキルのお陰で底上げは出来ているものの、焼け石に水とは彼の為にある言葉に思える。どちらにしろ初心者よりまし程度の話だ。
どの攻撃も所詮ステータスに準拠している。これほど無駄なキャラクターもあるまい。
ゲームシステムを効率よく使って雑魚キャラを作ったようなものだ。
彼に話しかける人もいるが、今は会話する余裕は彼にはない。
「もうアイテムは他のやつにやるしかないか」
ようやく思考が戻ってくる頃には、彼の顔にはすがすがしいほどの『他人任せ』と言う、特殊技能が発動していた。
と言うかこんなキャラ最初の頃の場所以外で活躍する事はできない。いややもう一つの方法があるとすれば壁役だけ。
どちらにしろ彼にできる事は決まっていた。
「この世界から逃げ出すために、人材を育てなくてはいけないのか」
彼がこれからやるのはただの養殖のような動作だけ。
これからこの世界を逃げ出すまでの一年間で彼が育て上げた、高レベルプレイヤーは千人を超す。
そして彼は伝説へと昇華される。
世界最強の壁と、最もそれに特に意味は無い。
彼がこの世界から離脱して手に入れるものは無い。それに気付くのは彼がこのゲームがから逃げ出した後になる。
そして何より、このゲームに奪われた時間が、彼の人生を破綻させる事になるのだから、笑い話ですまない。
「こんな現実から逃げ出してやる」
だが今現在全裸になって格好をつける姿は彼の将来を暗示しているようでならない。
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