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玄米茶の愚痴や、暇潰しの短編を書いたりするよ多分
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といっても暇潰しでてきとーに書くだけなので、ああこんなのあるんだぐらいの感覚でいてくださいね。
新規のお客さんには厳しい感じなので、してほしい事はメールフォームからいってあげてください大体やりますから。

そういえばようやくチンピラの仕事をマスターしたよ。体力の回復が五十秒少なくされるようですね。回復のスピードが上がりますよといって報告終了。完全にモブストライクの報告ですね、一体私は誤字修正しながらなにやってんでしょうかね。
だって息抜きしないとしんどいんだもん。

さてその息抜きの一つです。次の公開では多分全部掲載すると思うよ。



二章 ラプラスの悪魔

ラプラスの悪魔、物理学の分野で、未来を決定する超越存在の概念の事である。
量子学の不確定性原理により破壊された。しかし、ここにその存在が居る、あらゆる事象を認識し過去も未来も一切彼の前では平等に認識される。最も多様に変化する未来を確定させる事は、彼には出来はしない。
だがそれは不完全ながらそうとしか言いようが無い代物だった。

見たいと思えばそれが全て見えてしまう、千里眼の中でも祭の異眼は、反則が過ぎる。あらゆる全てを認識してしまう、その代償は凄まじい本人の寿命を喰らいそれでもまだ足りぬという。自分の寿命さえもう見て知ってしまっている彼は、賽の河原で石を積まなくてはいけないと軽く言い放ったそうだが、かなり笑い事じゃない。
自分の片割れの死に様を刻み付けられる事で覚醒した見識の千眼王は、その膨大な能力が故に死に絶える事に成るのだ。

妹の鎮魂も終わった頃の事だ、線香花火とおはぎと言うあまりにも酷いと言えば酷い供養を友人と一緒にして、自分が死ぬ事さえ忘れたように、馬鹿笑いをしながら家路についていた。
そんな折だ彼が思い出したくもない名前と一緒に現れたのが、天位の魔王ルーデである。シュヴァルツバルドの気高き姫君にして、異端狩り最有力候補であった。祭りはそのことを知ってはいたが、本当に思い出したくもなかったのだろう記憶から廃絶していたようで、心底深いそうな顔を作り上げる。
最もそれ以上に凶暴な表情をしていたのは響であったりする。元々が激情家である事もそうであるが、彼女の父親が親友の命を削る出来事を起こし、もう一人の親友もまた命を落としているのだ。

激情家であろうとかなろうと、相応の怒りを覚えても仕方ない事だろう。
白亜の燐光を漂わせ、開眼の祝詞を紡ごうとするが、祭りが手でそれを制した。

「やめとけ、あれは本物の類だ。百眼じゃあ殺されるぞ、幅広の開眼じゃああれには勝てないからやめとけ。こんなところで親友を殺されるわけにはいかないだろう」
「けどよ、あれはあのゴミ野郎の娘だぞ。見ているだけで殺してやりたくなるに決まっているだろうが、ましてや今日は奉が死んだ日だぞ、これ以上の無礼があってたまるか」
「それでもやめとけ」

同じく黒の燐光を浮かべ開眼の宣誓を紡ぎ終っているのだろう。若年では最強に近い異眼使いは、この異眼大国の日本であったとしてもその実力をまざまざと見せ付けていた。溢れる異眼の存在感が、白亜の燐光を押しつぶしているようにさえ見えてしまうほどだ。
祭のあまりに冷静な言葉に、驚いたような表情を見せ彼の表情を伺おうとするが、冷静に考えてみれば顔の中で最も感情が、表に出やすい目が隠れている所為だろう、感情を読むことも出来ない。
そのことに多少の歯痒さも感じるが、祭の言う事の方が正しいことぐらい理解している彼は感情を押さえつける。

「わかったよ。どうせここで事を起こしても無駄死にだからな」
「そう言うことです、クラウンの分家もそれなりに頭が働くようですが」「だがお前は黙ってろよ淫売、お前はこいつを侮辱すだけの価値もないだろう」

その代わりなのだろうか止めた本人が、思いっきり彼女に対して暴言を吐き散らかす。目を見なくても十二分に、彼が彼女の事を嫌っていることが、理解できる瞬間だろう。冷静に考えれば、祭も彼女の存在が憎くて堪らないに決まっていた。

「ってまて、何でお前が喧嘩腰なんだよ。俺を止めておきながらなにをやってるんだよ」
「ああ、すまん。こいつが奉の事も無視して、お前の事侮辱するものだから本音が出た」

いきなり淫売扱いされて表情が固まったままのルーデは、彼らと同年代の少女らしい反応を取る。
そのまま感情に任せて攻撃するようなら、異端狩りの試験自体合格することがないのだが、その辺りの自制は、もう出来るだけの精神制御が、可能なのだろう大きく息をすって吐くと表情が、人形のように無機質なものへと変わっていった。

「千眼王香禅坂より、貴方の守護を任命されました。見識の千眼王と呼ばれる貴方の事なら知っていることでしょうが、お側にいることをお許しいただけないでしょうか」
「やめとけ、やめとけ、お袋に殺されるぞ。あの人は俺や響よりも苛烈な人だ、視界には居るや否や存在ごと皆殺しにされるに決まっている、それの俺はお前が生きているということ自体が吐き気がするほど嫌いだ、父親と同じくどいつの犬小屋からあらわれるな」
「そうはいかない、私は異端狩りにならなくてはならないんだ。そして何より今回貴方の護衛に当たるのは私の一族の失態だ、これ以上世界に魔王の汚名を出し尽くしていいわけがないんです」

その言葉に何度か祭は首肯した。この世界では力と共に名家であるだけの理由が必要だ、強ければいいなどと言う発想では、現代社会で生きていけるわけがないのだ。高潔な倫理と、強大な権力を操るだけの器、莫大なるその力に払われる報酬の全てを受け入れ尻に敷く度量がなくして名家といわれるはずもない。

「と言うことはだ、出てきたんだなやっぱりお前の家の犬っころが、かわいそうに、本当にかわいそうに、手足をもぎ取っただけで生かしてやったって言うのに、存在ごと殺されにくるなんて。何度殺されるつもりなんだろうな、哀れすぎる犬だよ。だがこれで今回こそ確実に殺されるだろうな」
「何を言っている貴方の目には父の死が見えているということか。だがそれでは私の役割もあるはずではないのか」
「そりゃそうだろう、この国にあいつが二度もはいってくるのなら。それは殺してくださいとくるものだ、王帝に天威に俺、どれに殺されるかはまだ未来も決まっていないが死ぬさ確実に、お前もその一人になるかもしれないが近寄るな野良犬、餌に釣られて人を玩具にするな、俺はもうお前らの餌になるつもりはないんだよ腐れ淫売」

そう言うと彼は踵を返して彼女から離れる。響もその後に続くが、彼女の感情の中に怒りがあっても仕方のないことだろう。
個人の罪であるにしてもないにしても、これほど悪趣味な代物もないだろう。よりにもよって自分の妹を殺した相手の娘が、命日にあらわれ彼を守るという、義務感だけの説明を告げられた。
これほど喧嘩を売るに相応しい内容も早々お目にかかれるものじゃない。

酷く制御しづらい感情を必死に押さえながら、それでもここで引けるものではないのだろう。見識如きに負けた魔王の一族と言う汚名を雪がなくては、この世界で彼女達は生涯不名誉の衣を着ることになるのだ。
溢れる感情を声にして彼女は発散する、酷く震える空気はきっと微かなりとも目から零れた代物なのだろう。

「不躾はお許しください、ですがここで断られては私達はお仕舞いです」
「終われよ、一度終わってくれ、お前らを俺が許す道理なんて持ち合わせちゃいない。お前が奉の事さえまともに知らないのと同じだ、見当違いの憎しみだろうがなんだろうが、俺はお前ら一族を生涯許さないんだよ」

溜まって行く涙を必死に理解する。自分の父親の業の重さをここになって彼女はようやく知ったのかもしれない。
彼女にとってどこまで言っても一乃坂なんていう家は、彼女の家を没落に導き、自分と同じく『てんい』と言う名を持った、所詮生意気な一族だとしか思っていなかった。これは彼女の父親の教育の所為でもあるが、能力の低い名家以外を見下していたと言う事のなのだろう。

「お願いですから、お守りさせてください」
「嫌だ、絶対に嫌に決まってるだろう。って言うか泣くな、女が泣くな頼むから」

しかしここに来てその事実が彼女を追い詰めた。没落しかけている魔王の家は、彼女が継がなければ他の名家によって圧殺される事だろう。
だからこそ名声が欲しかった。
そのためには千眼王までが集い、今代最強呼ばれる異端狩りに入るのが、その知名度から言っても早道であるのだ。そこにいる人間だけで鳴神の炎眼、錯乱の老眼、最強の千眼といった早々たる面子が揃っている中に入るのは、それだけで名声に繋がる事なのだろう。

そんな彼女を見て祭は酷く疲れた様子だ。彼自身が女の涙に弱いということもあるだろう、トラウマレベルで刻まれているとは言え、憎い敵の娘でさえこうだというのだから筋金入りだ。元々そう言う性格なんじゃないかと邪推するほどである。

「私を好きにして構いませんから」


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